OWAN

京都デザイン賞2012 入選

京都文化の代表格の一つである茶道で用いられる茶碗、
とりわけ、茶道の創成期の茶碗は、簡素でありながら、優美さが宿っており、
現代のデザインに通ずる価値を備えていると私たちは感じました。
その様な古き茶碗がたたえる美を、現代の暮らしに取り入れるとしたら、
あるいは、世界で利用されるデザインにできるとしたら、という視点から検討し、
お椀型のランプシェードに至りました。

素材は、光を透過するアクリル樹脂を成型してできたベースの上に、外側に黒色、
内側に赤色、表裏二色の漆が塗り分けられています。
アクリル樹脂のベースの内側には、漆を塗った時に濃淡の差を意図的に出せる様、
凹凸の装飾が施してあります。照明の消灯時は光沢のある黒い漆の落ち着いた美を静かに主張し、
点灯時には碗の内側に塗られた漆の濃淡によってできる模様が電球によって投影され、
外側に浮かび上がります。

アクリル樹脂という現代素材の上に、漆という伝統素材を塗り、
古き造形美を現代生活に取り込むこのランプシェードは、
伝統を守りつつも新しい文化を積極的に取り入れて発展してきた京都らしさを現しています。